グローバル化が進む世界の中で、異なる言語や価値を持った相手との異文化体験を柔軟に受け入れ、関係を作りあげられるコミュニケーション能力をもった人物がますます求められています。
そのため、次世代の担い手である小・中学校の教育からグローバル人材を育てる目的で英語教育が重視されるようになってきています。
グローバル人材とは?
「グローバル」という文字がいろいろなところから聞こえてきます。グローバル社会、グローバル人材などですね。
グローバル人材育成推進会議によりますと、グローバル人材とは次のような人とされています。
語学だけではなく主体性やチャレンジ精神を持ち、柔軟で協調性のある人で、異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティを持っている人と定義されているのです。
さらに、課題を発見、解決することなど多岐にわたって求められていることから、かなり高い能力を身につけた人を育成することを目標としていると理解できます。
このうち、語学に関してはグローバル化した世界でコミュニケーションを取るために必須の項目としてとらえられています。
そして、海外旅行で英語を使えるというレベルから仕事で英語を使うというレベル以上の、多人数と討論して折衝したり交渉したりするレベルまで引き上げるということを目標としています。
グローバル人材育成にはまず英語から
グローバル化に対応した英語教育の内容として、文部科学省は「英語を用いて何ができるようになるか」ということを重視しています。
そのため、小・中学校から段階的に英語の教育を深めていくための目標を設定しているのです。グローバル化に対応することが小学生の英語教育にも深く関係をしているわけです。
小学校の段階では、3,4年生から英語教育が始まります。ここではコミュニケーション能力の素となるものを養うことを目標にしているので、外国語活動として歌やゲームを中心に進むことになります。
さらに、5,6年生になると「聞く」「話す」がメインになります。これにより中学校からの習得することになる英語の4技能の基礎を作っていくことになります。
これは、中学校に入学していきなり4技能を一度に習得させることの負担が大きすぎるのではという配慮に基づいて考えられたものです。
異文化体験は発信することも
グローバル人材には、異文化を理解・体験することが必要です。異文化体験というと、海外の文化を日本人が体験することにばかり目がいきます。
しかし、グローバル化した世界では逆の場合もあるのです。つまり、日本の伝統や文化を海外の人に体験してもらうということも、同時に異文化体験に含まれるのです。
グローバル人材の育成というと、とにかく英語に重点を置かれると考えてしまいますが、決して語学だけではありません。
日本人としてのアイデンティティを持っているということもグローバル人材の資質としては大切になります。日本文化や日本の伝統を発信することもグローバル化なのです。
自らが英語でコミュニケーションを取れるだけではなく、伝統や文化を発信できるということも英語教育と同じように重視されているのです。
そのため、英語で何ができるようになるかという目標に対して、英語で日本の伝統や文化を伝えるということが含まれているのです。
自分たちの文化も異なる文化も同時に大切にできて初めてグローバル人材にふさわしいということですね。英語だけに偏っては真のグローバル人材ではないのです。